シンガポールにおける人手不足の状況とその対応策について

■はじめに

経済発展の著しいシンガポールですが、日本と同様に少子高齢化が進んでおり、人手不足が課題となっています。今回はシンガポールの人材確保施策として、外国人労働者の受入に焦点を当てご紹介します。

■シンガポールにおける外国人労働者の現状について

シンガポールにおいて外国人が就労するためには就労ビザを取得しなければならなく、管理職や専門職を対象としたエンプロイメント・パス(EP)、中級レベルの技術者を対象としたSパス、建設業や製造業、家事補助等の業種を対象としたワーク・パーミット(労働許可証)等があります。また、各種ビザには給与要件や人数制限、国籍制限等の条件が設けられています。

シンガポール政府発行「Population in Brief 2024」によると、シンガポールの総人口は2024年6月時点で604万人となっており、前年6月から2.0%増加していますが、要因としてコロナ禍でのプロジェクトの遅れを取り戻すため、建設業等で働く外国人労働者が増加したことが挙げられます。

実際にシンガポール国内で生活していると、工事現場で働くバングラデシュ人や、住み込みで家事・介護等を行うフィリピン人のメイドを見かける機会が多いです。

■近年の外国人労働者受入政策

最近では医療や警察など、公共性の高い分野における外国人材参入の動きが見られます。例えば救急医療の現場では、高齢化により増加した需要に対し人材不足が深刻化しています。このため、シンガポールの消防機関にあたるSingapore Civil Defense Force(SCDF)では、2025年3月から救急隊員及び救急救命士としてASEAN諸国からの採用を開始することとしました。

また、正規の警察官の補助を行う補助警察官Auxiliary Police Officers (APOs)は、従来シンガポール人、マレーシア人及び台湾人で構成されていましたが、シンガポール政府が2024年1月から対象国を拡大し、スリランカ、ミャンマー、フィリピン、インド、中国から隊員の採用を行っています。

■おわりに

人材不足や少子高齢化等、日本とも共通した課題を抱えているシンガポールですが、賃金の高さや東南アジアの中心部に位置していることを活かし、周辺諸国から柔軟に労働力を呼び込もうとしています。引き続き、北海道の課題解決のヒントとなるような取り組みを皆様へご紹介できるよう、現地情報の収集・発信に努めてまいります。

▲ 工事現場の様子(筆者撮影)

▲ 緊急出動に備えて待機する救急車(事務所スタッフ撮影)

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