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シンガポールにおける人手不足の状況とその対応策について (6/3/2025)

■はじめに

経済発展の著しいシンガポールですが、日本と同様に少子高齢化が進んでおり、人手不足が課題となっています。今回はシンガポールの人材確保施策として、外国人労働者の受入に焦点を当てご紹介します。

■シンガポールにおける外国人労働者の現状について

シンガポールにおいて外国人が就労するためには就労ビザを取得しなければならなく、管理職や専門職を対象としたエンプロイメント・パス(EP)、中級レベルの技術者を対象としたSパス、建設業や製造業、家事補助等の業種を対象としたワーク・パーミット(労働許可証)等があります。また、各種ビザには給与要件や人数制限、国籍制限等の条件が設けられています。

シンガポール政府発行「Population in Brief 2024」によると、シンガポールの総人口は2024年6月時点で604万人となっており、前年6月から2.0%増加していますが、要因としてコロナ禍でのプロジェクトの遅れを取り戻すため、建設業等で働く外国人労働者が増加したことが挙げられます。

実際にシンガポール国内で生活していると、工事現場で働くバングラデシュ人や、住み込みで家事・介護等を行うフィリピン人のメイドを見かける機会が多いです。

■近年の外国人労働者受入政策

最近では医療や警察など、公共性の高い分野における外国人材参入の動きが見られます。例えば救急医療の現場では、高齢化により増加した需要に対し人材不足が深刻化しています。このため、シンガポールの消防機関にあたるSingapore Civil Defense Force(SCDF)では、2025年3月から救急隊員及び救急救命士としてASEAN諸国からの採用を開始することとしました。

また、正規の警察官の補助を行う補助警察官Auxiliary Police Officers (APOs)は、従来シンガポール人、マレーシア人及び台湾人で構成されていましたが、シンガポール政府が2024年1月から対象国を拡大し、スリランカ、ミャンマー、フィリピン、インド、中国から隊員の採用を行っています。

■おわりに

人材不足や少子高齢化等、日本とも共通した課題を抱えているシンガポールですが、賃金の高さや東南アジアの中心部に位置していることを活かし、周辺諸国から柔軟に労働力を呼び込もうとしています。引き続き、北海道の課題解決のヒントとなるような取り組みを皆様へご紹介できるよう、現地情報の収集・発信に努めてまいります。

▲ 工事現場の様子(筆者撮影)

▲ 緊急出動に備えて待機する救急車(事務所スタッフ撮影)

ピッチコンテスト「Youth Innovation EXPOアジア大会」がシンガポールで開催 (5/8/2025)

■はじめに

2025年4月から当事務所に着任いたしました。北海道のPRをすべく精進して参りたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

今月の現地レポートでは、シンガポールの南洋理工大学で開催された「Youth Innovation Expo」アジア大会の様子をお伝えします。「Youth Innovation Expo」は大阪・関西万博の公式会場を舞台に、国内外の学生が一堂に会し起業や技術革新に関するアイデアを発表・共有する世界最大規模のピッチイベントで、予選大会となる地域大会は日本国内に加え欧州、アジアでも開催されます。アジア大会開催国となったシンガポールでは、オンライン参加含め多くの学生による素晴らしいプレゼンテーションが披露されました。

■ピッチコンテストの様子

アジア大会には150以上のチームが申し込み、事前審査を経て選ばれた10チームが出場しました。シンガポールだけでなくASEANやインドなど多くの国から、明日の起業を夢見る学生チームが参加しました。

参加チームからは、AIを活用した気象データ解析や病気の早期発見システム、心理状態を解析できるカウンセリングアプリ等の多様な分野での意欲的なプレゼンがありましたが、3名の審査員による選考により、高齢者向けのデジタル詐欺防止への取組みを発表したシンガポール国立大学の学生チーム「Digi-Up!」が優勝し、本年7月に大阪・関西万博の公式会場を舞台に開催される本大会への出場権を獲得しました。

また、大会審査員を務めた当事務所の岡部所長から参加者に対して、北海道は観光地として有名なだけではなく、再生可能エネルギーやデジタル産業で大きなポテンシャルを持っており、海外からの投資やスタートアップを歓迎しているので、将来的なビジネスの場として北海道を是非検討いただきたいと呼びかけました。大会には将来起業を検討している理系学生も参加しており、北海道の投資優位性や起業の可能性について話したところ、興味を示していました。

■おわりに

今回のピッチコンテストを通じて、アジアで起業を目指す多くの学生に対して北海道におけるビジネスの可能性をPRすることができました。北海道はシンガポールはじめASEAN地域で人気の旅行先ですが、投資優位性や起業の可能性など幅広い魅力を発信することで、多様な経済交流の足がかりを築くべく、今後も各所でプロモーションに努めてまいります。

▲ 授賞式の様子

▲ 起業を目指すアジアの若者に北海道の魅力を発信しました

当地のNetflixで人気のある日本コンテンツについて (3/28/2025)

■はじめに

シンガポールではアニメを筆頭に日本のテレビ番組や映画の人気が高く、多くの日本コンテンツが視聴されています。もちろんシンガポールでも地上波放送や映画館はありますが、全国では様々なVODサービスが普及しており、特にNetflixの利用者が多く、日本の作品が視聴ランキングTOP10にランクインする事も頻繁に見られます。今回は、現地のNetflixで人気のある日本コンテンツについて紹介いたします。

■シンガポールのNetflix事情

シンガポールでは英語と中国語を公用語としている事から、多言語対応コンテンツが充実しているNetflixの視聴者層が広がっています。データプラットフォームであるStatistaが2024年9月に発表した、シンガポールにおけるVODサービスに関する調査結果では、回答者の約89%がNetflixを視聴していると回答しています。同じく2024年1月発表の調査結果によれば、シンガポールを含むアジア太平洋地域におけるNetflixの年間有料会員数は2023年末までに約4,534万人となり、2017年末の約650万人から大幅に増加しています。VODサービスの拡大により、当地の映画館ではコロナ禍の休館を経て営業を再開したものの、観客の戻りが鈍く閉鎖した映画館もあるとのことです。

■アニメ

当地では日本アニメが高い人気を誇り、多くの作品が視聴されています。例えば、「進撃の巨人」や「鬼滅の刃」は多くのアニメファンに支持されており高評価を得ている作品です。 シンガポール版NetflixのTV番組TOP10(2025年3月20日時点)には「SAKAMOTO DAYS」が第9位にランクインしており、新たに配信される日本アニメの注目度の高さが伺えます。 これらのアニメは、日本語音声に英語・中国語等の字幕版で視聴する事が一般的ですが、多くの若者がアニメに興味を持ち、勉強するきっかけにもなっています。ちなみに、ポッケとモンスター等の小さいお子様に人気の作品は英語音声の配信がされている事もあります。

 

■映画

アニメ番組同様に日本映画も広く視聴されています。スタジオジブリの作品は、幅広い年齢層が視聴しているため数多くが英語・中国語の吹き替え版で配信されています。

また、アニメ人気の高さから実写版映画の人気も高く、最近では「キングダム」「るろうに剣心」「シティーハンター」などは配信後に現地Netflixの映画ランキングTOP10入りをした人気作品です。

 

■ドラマ・テレビ番組

ドラマでは、上述した映画の主演を務めた佐藤健や山﨑賢人が出演する「First Love 初恋」、「今際の国のアリス」は視聴者が多いです。特に 「First Lobve初恋」では北海道がロケ地となった事もあり、当事務所が旅行博等のイベントに出展した際に観客から話題に上る事もありました。また、当事務所のローカルスタッフによると過去に「テラスハウス」や「深夜食堂」が配信された際には、高い人気を誇り視聴ランキングTop10にランクインしていたようです。

 

■おわりに

2025年3月をもちまして赴任期間が終了し、帰任する運びとなりました。拙いレポートでしたが、1年半の間ご覧いただき誠にありがとうございました。本レポートを通じて少しでも当事務所の活動やシンガポールについてご理解を頂ければ嬉しく思います。今月は当地のNetflixで人気の日本コンテンツを紹介させて頂きましたが、今後も当事務所では様々なトピックで駐在員レポートを発行して参りたいと思いますので、引き続きご高覧頂けますと幸いです。

The Japan Rail Fair 2024に北海道ブースを出展! (11/5/2024)

■はじめに

今月の現地レポートでは、シンガポールで開催された「The Japan Rail Fair 2024」の様子をお伝えします。当事務所は、YOTSUBA MILK PRODUCTS ASIA(よつ葉乳業のシンガポール法人)と共同で北海道ブースを出展し、本道の食と観光の魅力を発信しました。

 

○The Japan Rail Fair 2024について

主催:JR東日本東南アジア事業開発(JR東日本のシンガポール法人)

期間:2024年10月11日(金)~10月13日(日) 11:00~20:00(最終日は18:00まで)

会場:Urban Park at Guoco Tower(1 Wallich Street Singapore 078881)

概要:自治体や日系企業がブースを出展し、食や観光・文化など日本の魅力を発信

■会場の様子

イベントには北海道・秋田県・山口件・安曇野市・秋田市等の自治体や福岡県観光協会、山陰インバウンド機構、星野リゾートトマム、JR 九州、エアジャパン、KIRINホールディングス等の22団体がブースを出展し各種PRを行いました。北海道ブースでは、当事務所が北海道の観光パンフレット配布やラッキードロー、よつ葉乳業は当地小売店で販売している牛乳4種類(プレーン・ミルク苺・ミルク紅茶・ミルク珈琲)の無料サンプリングを実施し、多くの来場者が訪れました。最終日には北海道プレゼンテーションを実施し北海道観光情報やよつ葉乳業の商品ラインナップを紹介しました。

当地では12月がスクールホリデーのため、今冬の北海道旅行を検討している来場者が多く見受けられました。お勧めのホテルや冬季のアクティビティを聞かれた際には、隣にブースを構えていた星野リゾートトマムを紹介させて頂く機会も多く、官民一体となって北海道観光情報を発信しました。

よつ葉乳業の牛乳サンプリングでは、毎日同社の牛乳を飲んでいる方、何度も試飲に来るお子様、その場で購入を希望される方等、多くのよつ葉牛乳ファンが来場して4種類のサンプリングを楽しんでおり、道産牛乳の人気を再認識しました。

 

■来場者の声

・12月に家族で北海道旅行に行きますが、アメリカ在住の家族とは北海道で合流予定です。

・来年6月に10日間の北海道旅行を予定しています、自然景観と温泉、グルメが楽しみです。

・よつ葉乳業のミルク苺が大好きで良く購入しています。今回は、気になっていたミルク珈琲を試飲できて嬉しいです。

 

■所見

今回のイベントは、官民一体となって北海道の食と観光をPRする良い機会となりました。引き続き各種イベントでの機会を活用し北海道の魅力発信に努めてまいります。

北海道ブース
よつ葉乳業の牛乳サンプリング
イベントの様子

 

 

ASEAN各国で人気の道内旅行先について (9/27/2024)

 

■はじめに

今月の現地レポートでは、ASEAN各国で人気のある道内旅行先や滞在先での過ごし方について、シンガポール、フィリピン、インドネシアの3カ国をピックアップして、弊所が過去に参加した旅行博での来場客や旅行会社の方々の意見を参考に紹介したいと思います。なお、2023年度に各国から日本及び北海道を訪れた外国人観光客数は以下のとおりです。

訪日外客数(*1) 訪日外国人来道者数(*2)
シンガポール 616,962人 70,100人
フィリピン 712,925人 22,200人
インドネシア 463,770人 21,000人

※1:日本政府観光局 訪日外客統計より

※2:北海道観光入込客数調査報告書より

■シンガポール

JNTOシンガポール事務所によれば、FIT(海外個人旅行)の割合が95%と高く、インターネットやSNSで情報を集め自分で旅行を手配する傾向があります。訪日リピーターも多く、特に広大な北海道は一度の旅行では足りず、何度も訪れている方が多いです。

特徴としては、道央だけでなく道内全体を訪問しており、羽田空港から国内線を利用して道内の地方空港へ直接向かう等、旅慣れしている方が多い印象です。本年8月の旅行博では「冬の野付半島で野生の鹿を撮影した」「利尻島でお勧めのホテルはありますか?」「高速道路が開通したから木古内に行った」等の話を聞き、よりマニアックな道内旅行先を探している方が多く驚きました。滞在先の過ごし方についても「シンガポールは狭いからレンタカーで広い道路を運転したい」「温泉地巡りをしたい」「自転車で各地を周遊したい」「とにかく3食美味しいものを食べ続けたい」等様々です。

シンガポールNATAS Holidaysでの北海道ブース
■フィリピン

マニラ~関西間の増便等もあり本州への旅行者が多い状況ではありますが、本年2月にマニラで開催された旅行博では、北海道旅行への憧れを抱いている方が多く見受けられました。現地で観光パンフレットを配布すると、多くの方が冬のページを見て「どこで雪が見れますか?」「雪祭りはいつですか?」といった質問が多く、冬季の旅行に関心が高い印象を受けました。現地旅行会社によると、移動が少ない道央圏のパッケージツアーが人気で、1泊は温泉地の宿泊が含まれており、比較的狭いエリアをのんびり観光する傾向があるとのことです。

フィリピンTravel Tour Expo北海道観光プレゼン
■インドネシア

先月ジャカルタで開催された旅行博では、予想以上に北海道旅行をした事がある・北海道旅行を計画している来場者が多く、様々な情報提供を行いました。アイヌ文化を題材にした漫画「ゴールデンカムイ」のアニメを見て北海道に興味を持つ方も多いようで、旅行博では「ウポポイ」や「阿寒湖アイヌコタン」を紹介する機会もありました。また、インドネシアでは日本から譲渡された電車が多く運行しているため、「北海道で撮り鉄をしたい」といったニーズもあり、北海道JRパスを活用した旅行プランを検討している方も見受けられました。現地旅行会社によると、北海道には雄大な自然景観を求めて旅行に行く方が多い一方で、ムスリム国家であるため訪日旅行は食事が障壁となるケースが多いとのことです。

インドネシアJapan Travel Fair北海道ブース

■所見

国によって認知度に違いはありますが、北海道観光は多くの人々を惹き付ける協力コンテンツです。引き続きインバウンド拡大に向けて北海道の魅力発信に努めて参ります。

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