■はじめに
今月の現地レポートでは、ASEAN各国で人気のある道内旅行先や滞在先での過ごし方について、シンガポール、フィリピン、インドネシアの3カ国をピックアップして、弊所が過去に参加した旅行博での来場客や旅行会社の方々の意見を参考に紹介したいと思います。なお、2023年度に各国から日本及び北海道を訪れた外国人観光客数は以下のとおりです。
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訪日外客数(*1) |
訪日外国人来道者数(*2) |
シンガポール |
616,962人 |
70,100人 |
フィリピン |
712,925人 |
22,200人 |
インドネシア |
463,770人 |
21,000人 |
※1:日本政府観光局 訪日外客統計より
※2:北海道観光入込客数調査報告書より
■シンガポール
JNTOシンガポール事務所によれば、FIT(海外個人旅行)の割合が95%と高く、インターネットやSNSで情報を集め自分で旅行を手配する傾向があります。訪日リピーターも多く、特に広大な北海道は一度の旅行では足りず、何度も訪れている方が多いです。
特徴としては、道央だけでなく道内全体を訪問しており、羽田空港から国内線を利用して道内の地方空港へ直接向かう等、旅慣れしている方が多い印象です。本年8月の旅行博では「冬の野付半島で野生の鹿を撮影した」「利尻島でお勧めのホテルはありますか?」「高速道路が開通したから木古内に行った」等の話を聞き、よりマニアックな道内旅行先を探している方が多く驚きました。滞在先の過ごし方についても「シンガポールは狭いからレンタカーで広い道路を運転したい」「温泉地巡りをしたい」「自転車で各地を周遊したい」「とにかく3食美味しいものを食べ続けたい」等様々です。
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■フィリピン
マニラ~関西間の増便等もあり本州への旅行者が多い状況ではありますが、本年2月にマニラで開催された旅行博では、北海道旅行への憧れを抱いている方が多く見受けられました。現地で観光パンフレットを配布すると、多くの方が冬のページを見て「どこで雪が見れますか?」「雪祭りはいつですか?」といった質問が多く、冬季の旅行に関心が高い印象を受けました。現地旅行会社によると、移動が少ない道央圏のパッケージツアーが人気で、1泊は温泉地の宿泊が含まれており、比較的狭いエリアをのんびり観光する傾向があるとのことです。
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■インドネシア
先月ジャカルタで開催された旅行博では、予想以上に北海道旅行をした事がある・北海道旅行を計画している来場者が多く、様々な情報提供を行いました。アイヌ文化を題材にした漫画「ゴールデンカムイ」のアニメを見て北海道に興味を持つ方も多いようで、旅行博では「ウポポイ」や「阿寒湖アイヌコタン」を紹介する機会もありました。また、インドネシアでは日本から譲渡された電車が多く運行しているため、「北海道で撮り鉄をしたい」といったニーズもあり、北海道JRパスを活用した旅行プランを検討している方も見受けられました。現地旅行会社によると、北海道には雄大な自然景観を求めて旅行に行く方が多い一方で、ムスリム国家であるため訪日旅行は食事が障壁となるケースが多いとのことです。
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■所見
国によって認知度に違いはありますが、北海道観光は多くの人々を惹き付ける協力コンテンツです。引き続きインバウンド拡大に向けて北海道の魅力発信に努めて参ります。 |